ミニブタの飼育と栄養

ミニブタはアメリカでペットとして人気がありますが、初期の頃はかなり高額でしたが、だんだん頭数が増えるにつれ値段も急速に下がっていきました。手に入れる人が増えたことに比例して、自分の予想していたペットとは違ったなどの理由で捨てられるケースが大変多くなってしまいました。日本ではまだ珍しいペットということで普及していませんが同じ悲しい事態を防ぐために、購入前に正しい飼育方法を伝えることがとても重要です。

ミニブタ、体格・体重に関して大きな誤解をもたれています。通常、成獣は約45～54ｋｇに達します。ミニといっても子豚くらいの大きさを想像しないでください。食肉用の豚（体重200～300kg）と比べてミニなのです。また販売業者は大きくては売れないので15kgまでしかなりませんと偽りを行ったり、大きくならないように栄養失調状態にさせている悲しい現実があります。そういったひ弱なミニブタは長生きができません。健康で成長したミニブタは平均体重が54kgです。通常のペット用のミニブタは若い時期に避妊や去勢されて販売されています。

購入しようと思う前に50kgの大きなブタを飼育できるかをよく考えてください。飼いきれなくなっても引き取り手はまずありません。小さいままがいいと思って飢えさせるのも、必要以上にエサを与えすぎて異常な脂肪を蓄えさせても、健康で長生きはさせてあげられません。幸せな一生を送れるよう勉強をしましょう。

エサはミニブタ専用のフードを与えることで栄養バランスをとれます。決して食肉用のブタのエサを与えてはいけません。食肉用は短期間で急成長するように配合されています。ミニブタ専用フードは食肉ブタ専用フードに比べ低タンパク質、低脂肪、高繊維です。体重維持時期のエサの基本的配合割合はタンパク質12%、脂肪2%、繊維11-15%です。成長期・繁殖期はタンパク質16-20%、脂肪2-6%と高めになります。１日に体重の2～2.5%の量です。

新鮮な水をいつでも飲めるようにします。尿道結石や膀胱炎を防止する意味でも水は大切です。ミニブタの専用フードにも結石予防のために尿のPHを上昇させない尿酸化剤が添加されています。水はよくこぼしたりひっくり返したりするので、水の制限をしてしまいやすいですが、大きくて重い食器を使って飲めるようにしてください。水は温かすぎたり冷たすぎても飲まないことがあります。交換するときにチェックしましょう。

おやつはしつけの意味では重要ですがたくさん与えすぎてはいけません。ミニブタは甘いものが好きですが人間用のお菓子などは決して与えてはいけません。アメリカのミニブタの飼い主の間では、ドライシリアルやポップコーン（バター・塩の無添加）、ドライフルーツ、生フルーツが与えられています。

肥満は関節炎、心疾患、心臓障害を引き起こしやすく寿命を縮めます。運動も適度に行わせたいですが、なかなか動かず寝ていることが多いので運動はさせにくいのが現状です。慣れていればハーネスをつけてお散歩もいいでしょう。それが無理ならエサをあさる習性があるので、広い芝生の上でエサをばらまき、歩きながら拾い食いさせるのも運動になります。

快適な温度は18-24℃です。ミニブタを屋外で飼育する人は少ないですが、大きくなってしまい室内で飼育できなくなってしまった場合には、環境には十分に配慮しなければいけません。夏は日陰や水浴び場が必要です。冬は小屋の敷き材、保温ランプなどが必要です。室内で飼育する場合はお気に入りの場所が決まってしまいやすく外へ出ることを嫌がるので若いうちに外で散歩する習慣をつくっておくといいでしょう。室内では布団や毛布の上で寝て、トイレを覚えたりします。外に出てトイレをしたがることもあります。室内にはトイレ箱（全身がはいるサイズ）を作ってあげるといいでしょう。

ミニブタは結構、好奇心が強く、鼻で床を掘ったり、捜し物をしたり、冷蔵庫や扉を鼻で開けたりします。家や庭を破壊されることもあります。フェンスなどで行動範囲を決めてあげるといいでしょう。

硬い剛毛ブラシでブラッシングをしてあげましょう。皮膚のアカを落とし、被毛の光沢が増し、健康な皮膚をつくります。

蹄（ひづめ）は固い場所を歩くことが少ないミニブタにとってはすり減る機会が少なく、長くとがってしまうことがあります。年に１度は麻酔をかけて蹄を削る処置が必要になってきます。もし散歩ひもをつけられるのでしたら、たまにはコンクリートの上を散歩させるのもいい予防策です。

ミニブタは犬歯をもっています。この牙は摩擦し合って鋭くとがることがあります。噛まなくてもすり寄っただけで怪我をさせてしまうことがあります。防止するためには牙のチェックをして、状況によっては削る必要があります。

原稿：エキゾチックアニマル臨床シリーズ、Pot Belliesより参照
写真：Pot Belliesより（いずれも当社販売書籍）

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